大栗少年が地球を測った話に触発される【前編】

不定記

三角法を使えば地平線までの距離が測れる!

ウワサのdマガ!【260830-0905週】の中で、「量子優位性」に関するニューズウィーク誌の記事を紹介しました。

この話の関連情報を探していたとき、YouTubeで大栗博司先生の講演動画を見つけました。大栗先生は言わずと知れた世界的な理論物理学者で、一般人向けに科学の面白さを紹介する活動もされています。

このときの講演タイトルは「量子と重力の統一 〜 基本法則探究のラスボス」。

かいつまんで言うと、物理学の最終目的とも言える「量子論と一般相対性理論の統一」がいかに難しいものであるかを一般人向けにまとめた内容です。「統一」というのは、ざっくり言うと一つの方程式で説明できる、ということだと思います。

短い講演動画ですがとても中身の詰まった内容ですので、興味のある方はご視聴ください。

この講演の冒頭で、小学生の頃の大栗先生(大栗少年と呼ばせていただきます)が地球の大きさを測ったエピソードが披露されます。

大栗少年は当時、名古屋の中日ビル最上階にある回転展望レストランで家族とよく食事をしたそうです。地上12階という高さからは地平線が見えました。そこでふと、ここから地平線までの距離はどれくらいだろうか? という疑問が大栗少年の脳裏に浮かびます。そのとき、学校で習ったばかりの三角法を使えば、その距離が計算できるはずだとひらめいたのです。

最終的に大栗少年は、地球の半径を求めることになり、実際とかなり近い値を出すことに成功するのですが、詳細については上の動画をご覧ください。あるいは、先生の著書『探求する精神』にも同じ話が出てきますので、こちらもおすすめです(私はずっと前にこの著書を読んでいたので、上のエピソードを聞いてすぐにピンときました)。

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ちなみにこの著書は、大栗少年がいかにして世界的な物理学者になったのか、その半生を先生ご自身が振り返った名著です。本書を読めばわかりますが、大栗先生は探求心のかたまりのような方です。そして、探求心こそが基礎科学、ひいては人類を発展させる原動力であることが理解できるでしょう。

ただし、類まれなる知能・知性が伴わなければ、大栗先生のように輝かしい人生を歩むことは難しいだろうという感想を抱くかもしれません。けれども、探求心は誰にでも持つことができます。そして、どんなレベルであれ、探求心を満たす経験は面白いものなのです。

沈む太陽を見て探求心が芽生える

前置きが長くなりましたが、私(管理人)にも大栗少年のような探求心が芽生えたことがあります。ここでその話を披露しましょう。

4年前のある日の夕方、嫁さんと犬の散歩をしていたときのことです。

その日はいつもの散歩コースではなく、豪華な住宅が立ち並ぶ高台を歩くことにしました。時期は3月半ば。まだ寒く、空気は澄んでいます。よく晴れた日で、空にはうっすらと雲がかかっていましたが、沈みかけた夕日の輪郭がよく見えました。

先へ先へとはやる犬に引っ張られながら、ぐんぐんと地平線に向かって沈んでいく太陽を眺めていました。高台なので、遠くにある山の稜線や街並みが一望できます。夕日に染まる景色を眺めながら、厳密にはここからでも地平線は見えないな、などと考えていました。

太陽の下端が山の稜線に接しようとしていました。このときふと、「太陽の下端が稜線についた瞬間から上端がすっぽり消えるまでの時間はどれくらいだろう?」という疑問がわきました。急いでiPhoneを取り出し、ストップウォッチで時間を計り始めました。

太陽は、みるみる隠れていきます。ストップウォッチを作動させながら、沈む太陽の写真を何枚か撮りました。嫁さんも犬も、この作業を見守っています。申し訳ないと思いながらも、この計測値から何がわかるかを考えました。

いま計っているのは、太陽の大きさだと気づきました。そして、その時間は地球から太陽までの距離に依存するはずです。であれば、その比は求められるはずだと思いました。完全に、大栗少年に触発された格好でした(念のためですが、私はいい年のオヤジです)。

そうこうしているうちに、太陽が完全に隠れる瞬間がやってきました。太陽光が消えるのにあわせてストップウォッチを切ります。そのときのスクショが、この記事のサムネイルに上げた画像です。

結果は、2分31秒26。ここで問題です。

問題

太陽の半径Rと地球から太陽までの距離Lとの比をR/Lとすると、次の中で近い値はどれでしょう?

ア.0.05
イ.0.005
ウ.0.0005
エ.0.00005

ストップウォッチで計った時間から計算してみてください。解答は……後編の記事で!

>>> 後編の記事を読む

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