『科学哲学の冒険』などの書籍で知られる、哲学者の戸田山和久先生が8月14日、お亡くなりになりました。
Wikipediaによれば、戸田山先生は1958年生まれ。まだ60代という、その若さに驚きましたが、何より、もう先生の著書が読めないことが残念で仕方ありません。
戸田山先生とは一度、名古屋大学の先生の研究室でお会いしたことがあります。
その際、私は持参した『科学哲学の冒険』を取り出して、自分がどれほどこの本を愛読してきたかを訥々と述べさせていただきました。私の話を聞いてくださったことも嬉しかったのですが、なんと、その本にサインまでしてくださり、訪問した用件そっちのけで舞い上がったことを思い出します。
そもそも、このとき戸田山先生とお会いできたのは、在籍していた会社の上司が進めていた出版企画の件で、この上司に同行したからでした。
この企画は結局、日の目を見ることはありませんでしたが、実は戸田山先生の研究室を訪れる前、この企画の件で先生が会社にいらしたことがあったのです。そのときは「あの人、見たことあるなぁ」くらいの印象しか持てなかったのですが、あとから戸田山先生だったことを知り、地団駄を踏んだことは言うまでもありません。そんな私を気遣ってくださったのか、この上司は戸田山先生を訪問する際に私を誘ってくださったというわけです。
先生が私の持参した本にサインをしてくださったとき、おもむろに別室に行かれ、『〈概念工学〉宣言!』という本を持ってこられました。戸田山先生が共同で編者を務められたもので、刊行されたばかりのため見本に予備があったからなのでしょう、1部謹呈してくださいました。先生から直々に著書をいただくという僥倖まで味わわせていただき、この日は生涯忘れられない一日となりました。
実は先生の著作のうち、専門的なものについては読み切れていないものもあります。すべてを理解することは難しいとしても、この機に全著を読破し、そして、拙いながらも書評を書くことをここに宣言いたします。
永遠に私淑する師、戸田山和久先生のご冥福をお祈りいたします。

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